スノーマン 朱夏の大陸 前編

 最後の大陸である、夏の大陸。止まっている季節の名を借りてそう呼ぶとして、スノーマンにとってもっとも過酷な場所といえるだろう。  「これは思った以上に寒いっちね。着こんでよかったっちよ」  こちとらTシャツにハーフパンツ …

東京異界録 第1章 第6録

 店に着いた私たちは、CLOSEと書かれた喫茶店の扉を遠慮なく開ける。店は中から漂っている仕込みの香りで歓迎してくれた。  店内には、先に到着していた人たちがおり、来客を知らせる鈴の音で振り返る。  「お帰り、ねーちゃん …

スノーマン 青春の大陸 後編

 「縮んじまってるじゃないか。ピクル、大丈夫か」  「な、何とかだいじゅ、ぶ、っち」  全然ダメだ。言葉が途切れ途切れになっている。  「バードマン、どうすればいいんだ」  「氷庫の中にある氷を突っ込んで大人しくしてれば …

東京異界録 第1章 第5録

 いったいどこから湧き出てくるのか、狼の数は一向に減る気配がない。一番前の奴らを倒しても、最後列にまた出てくるような感じだ。  「肌の新陳代謝かよ、っとに」  「面白い例えだね」  「そりゃどうも」  あちらは大太刀を、 …

【マンガ版】東京異界録 第1章 第1録 (ラフ画)

1枚ごとに掲載していますが、画像をクリックしていただくと、ライトボックスが開いてご覧いただくこと画できます^^*   マンガTOPへ  第2録へ 全体一覧へ   <メルマガ> 最新作速達便 新作品をい …

スノーマン 青春の大陸 前編

 うららかな陽気に、思わず昼寝をしたくなりそうになる。服も厚着をしなくてすむし、動きやすい気温だ。  一部、のぞかれるが。  「やっぱりちょっと肌寒いっちねぇ」  だから、お前だけだっつーの。  雪の精霊だから仕方がない …

東京異界録 第1章 第4録

 学校を案内させられた後、今日は異常なかったようなので、そのまま帰路へとつく私たち。彼らは真昼間なのにも関わらず、ゴエイだからとかってついてきているけれど。  「ため息ばっかついてっと、幸せ逃げるぞ」  「あのねえ」   …

スノーマン 白秋の大陸 後編

 「少しの間でいいのっ。私がたくさんの食料を集めて巣の中に入れておくから、それまでの間だけ。ね、お願い」  「そうは言ってもっちね~」  小鳥と雪ダルマとの対話が続く。見た目のせいかほんわかしているが、話す内容は随分と随 …

東京異界録 第1章 第3録

 時は流れ、今は正午。ホームルームが終わったあと、彼らはクラスメイトに囲まれ、質問攻めにあったのだ。  なぜか私も巻きぞえになったんだけど。  で、お昼近くなったから、空腹に耐えかねてコンビニまで行ってきたってわけ。部活 …

スノーマン 白秋の大陸 前編

 秋で季節が止まっている大陸、とりあえず秋の大陸、と呼んでおく。この世界には、スノーマン以外の生物や大陸に名前がついていないらしい。植物にはあるようだが。  移動手段は瞬間移動。どうなっているのか知らないが、RPGゲーム …