東京異界録 第2章 第15録

 プリムを倒し如月君が男に止めを刺そうとした矢先。いつもフォローしてくれている妖怪兄妹のひとり、カヌス君がそれを阻止した。  彼は普段どおりの勝気な笑顔で、左腕を下ろす。戦闘時に身に着けているらしい和服姿で、味方の攻撃を …

東京異界録 第2章 第14録

 「怪我は問題ないのか」  「大丈夫、カーラ君が治してくれたから」  「わかった。男のほうは俺に任せろ」  うなずいた私と如月君は、再度構える。相手の二人はこちらを怪訝そうにうかがうと、同じく戦闘体制に入った。  動き出 …

東京異界録 第2章 第13録

 肩を抑えながらうずくまるアタシ。耳をふさぎたくなるような鈍い音がしたと思ったら、知らない男が立っていた。  その手には血にぬれた剣が握られており、女のとは違うものだ。  「大丈夫ですか、プリム」  「クウちゃんってば、 …

東京異界録 第2章 第12録

 女はこちらにゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。まるで何かを踏みしめるように。  「あなたが藜御楓(あかざみかえで)さんかしら」  至近距離までやってきた相手は、如月君にそう聞いた。だが、本人は何も言わず、にらみつけてい …

東京異界録 第2章 第11録

 突然現れた、フリフリの服を着ている女性。歳は二十歳前後、かわいくてスタイルもよく、まるで人形みたいな人だった。  雰囲気を除けば、ね。  「あら、どうしたの。一緒に遊びましょうよ」  「そーはいっても、おねーさん。何し …

東京異界録 第2章 第10録

 恐怖騒動がひと段落すると、私とユキは自宅に戻り、如月君はそのままカグナさんと話をした模様。  その最中で、私の力を高めるために、この辺りの怨鬼を、彼と一緒に退治して回ることになった。念のために、カーラ君やカヌス君も同行 …

東京異界録 第2章 第9録

 カグナさんの店に集まった異界関係者たち。十二月(じゅうにげつ)の一人だという如月君と、妖怪兄妹とその祖父が、距離をとったまま動かないでいた。  そしてこのとき、私はカーラ君とカヌス君に初めてあったときのことを思い出す。 …

東京異界録 第2章 第8録

 赤土(あかつち)、もとい、須藤君と和解した、と言うべきなのかしら。まあ喧嘩を売られなくなったのは間違いないので、そういうことにしておこう。  気がかりなのは彼が抱えている問題で、命に関わることだから何とかしてあげたい気 …

東京異界録 第2章 第7録

 暗雲に囲まれたような雰囲気の中、どう切り出せばよいのかわかりかねている私。話のスケールが大きくなりすぎて、何て答えればよいのか、検討がつかないのだ。  だって、いきなり死ぬ呪いをかけられてるって言われたら、ね。  「心 …

東京異界録 第2章 第6録

 やってきた先は、駅から徒歩15分ぐらいのところにある焼肉屋。ちょうど私の家からは正反対にあるこの場所は、大食いなら知らない人間はいないと言われるほどの人気店だった。  当然、食べ盛りの弟、雪祥(ゆきひろ)も知っている。 …