東京異界録 第3章 第27録
「素晴らしい。これが小娘の力なのか」 姿なき声は、まさしくこの学校に通う女子生徒のもの。しかし雰囲気が普段と異なるばかりか、地面から姿を現したのだ。 「この力があれば誰にも負けはしない。たとえ要(かなめ)であっても …
「素晴らしい。これが小娘の力なのか」 姿なき声は、まさしくこの学校に通う女子生徒のもの。しかし雰囲気が普段と異なるばかりか、地面から姿を現したのだ。 「この力があれば誰にも負けはしない。たとえ要(かなめ)であっても …
「ご、ごめんなさい。わ、わたし」 「明日香ちゃんのせいじゃないから、ね」 と、泣いている最年少をなぐさめる、ひと足先に保健室にいた雪祥(ゆきひろ)。彼女とプリムは楓が闇の底に落ちてしまったと同時に、伽糸粋(カシス) …
ケルベロスと呼ばれる地獄の門番と対決する覚悟を持った矢先、久我(くが)先生はもっと広い場所で戦おうと提案。確かに廊下で戦うには人数が多いだろう。 それに、今はどうにかして危険を排除するのが先だ。また、理由は不明だが、 …
●うれのこり(売れ残り) はあ、また売れ残っちまった。まあいい、今夜の晩飯にもなるしな。お、ネコか。 よしよし、お前、腹が減ってるんだろ。形は悪いが食えるものだ、ほらよ。 それにしてもよく来るな。飼い主はいないのか。かわ …
危うくドンパチになりかけた同じ高校の男子生徒は、私の名前を聞いてくる。 だが、ハッ、としたように、 「悪い、俺は泉(いずみ)。三年だ」 「藜御(あかざみ)です、二年です」 「やっぱりお前が藜御(あかざみ)か」 …
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「ん。何だこれは」 見慣れない氷の矢がグッサリと刺さっているにも関わらず、蚊に刺された程度らしい三つ頭の巨大な犬は、ひとつの首をかしげる。 敵は天井にまで届く相手の大きさで、圧巻のひと言。しかも私の背後にはエサを欲 …
訳のわからない漫才コンビが立ち去った後、私たちは再び校内を巡回し始める。私、カーラ君、明日香ちゃん、プリムの四人で横一列になって移動するには少々狭い廊下を歩いている、が。 「考えてみれば食堂が機能してるワケないわよね …
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謎の光で助かった雪祥(ゆきひろ)は、自身に何が起こったのか理解できず、一瞬放心状態に陥る。だが、すぐに目標を思い出し、脇差を構えた。 一方、子供は異形を見るような目で睨んでいる。 「お前、いったい何者だ」 「それ …