【表紙】東京異界録 1巻

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東京異界録 第3章 第20録

 「よっしゃあ、成功っ」  「上手くいったな」  「涼ちん、ゴクローサマッ」  「お前、それはな」  どっと疲れが出てしまった涼太。それは目下に対して使う言葉だ、と口にしたかったのだが、悪気のない笑みは、きっと知らないの …

東京異界録 第3章 第19録

 雪祥(ゆきひろ)が思いついた作戦は、上手くいけば相手の防御網、つまり、あのツタをなくすことができるかもしれない内容だった。  もちろん、一種の賭けでもある。  「ってことだから、そっちは頼んだよ」  「任せろ。お前も気 …

東京異界録 第3章 第18録

 「まさかあんたに苦手なものがあるなんてな」  「あらそう。たくさんあるわよ」  「ぶっちゃけ意外だよ。三人とも何でもできると思ってた」  ないない、と困ったように笑う伽糸粋(カシス)。ここだけ見たら、目前に敵がいること …

東京異界録 第3章 第17録

 ドジな女忍者以降、雪祥(ゆきひろ)たちに、それ以降目立った襲撃はなかった。校内構造がよくわからない、というのもあり、ゆっくり進んでいるのもあるかもしれないが。  とはいえ、涼太の手には地図がある。しかし、迷ったときにし …

東京異界録 第3章 第16録

 立場上、校内で一番偉い立場の者が使う部屋に、一人の少年が現れる。ジャージ姿でけだるそうに歩いている彼は、遠慮なしに来賓用のソファーに座った。  「これは坊ちゃま、お久しぶりでございます」  「オレに対してその態度はしな …

東京異界録 第3章 第15録

 カヌス君が大怪我で離脱すると、私はカーラ君と明日香ちゃん、そしてプリムのチームに合流する。今までとくに変わったことはなく、話をしながら歩いていた。  「あ、あの、あの」  と、下のほうから声をかけられる。主は明日香ちゃ …

東京異界録 第3章 第14録

 右腕から繰り出された雷撃は、ひとつは狙い通りに当たったが、もうひとつはよけられてしまい、後続の同類に激突する。ちょっと気の毒であるが。  残る二匹は速度を上げ、更に腕を高くあげて威嚇しながらやってくるが、その間左手に溜 …

東京異界録 第3章 第12録

 まずは自分のために戦えよ。  その言葉が何故か頭から離れず、ずっと背後霊みたいについて来ている。いや、背後霊は失礼ね。せめて守護霊にしておこう。  って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。目の前からは、人外たちが多数 …

東京異界録 第3章 第11録

 有田との戦いのあと、のどが渇いたため一階にある自動販売機前まで移動した私たち。炭酸飲料を口にし、ちょっとすっきりすると、思わずふーっと息を吐き出した。  「それにしても、マジで今まで気がつかなかったのかよ」  呆れなが …