【表紙】東京異界録 1巻
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「よっしゃあ、成功っ」 「上手くいったな」 「涼ちん、ゴクローサマッ」 「お前、それはな」 どっと疲れが出てしまった涼太。それは目下に対して使う言葉だ、と口にしたかったのだが、悪気のない笑みは、きっと知らないの …
雪祥(ゆきひろ)が思いついた作戦は、上手くいけば相手の防御網、つまり、あのツタをなくすことができるかもしれない内容だった。 もちろん、一種の賭けでもある。 「ってことだから、そっちは頼んだよ」 「任せろ。お前も気 …
「まさかあんたに苦手なものがあるなんてな」 「あらそう。たくさんあるわよ」 「ぶっちゃけ意外だよ。三人とも何でもできると思ってた」 ないない、と困ったように笑う伽糸粋(カシス)。ここだけ見たら、目前に敵がいること …
ドジな女忍者以降、雪祥(ゆきひろ)たちに、それ以降目立った襲撃はなかった。校内構造がよくわからない、というのもあり、ゆっくり進んでいるのもあるかもしれないが。 とはいえ、涼太の手には地図がある。しかし、迷ったときにし …
立場上、校内で一番偉い立場の者が使う部屋に、一人の少年が現れる。ジャージ姿でけだるそうに歩いている彼は、遠慮なしに来賓用のソファーに座った。 「これは坊ちゃま、お久しぶりでございます」 「オレに対してその態度はしな …
カヌス君が大怪我で離脱すると、私はカーラ君と明日香ちゃん、そしてプリムのチームに合流する。今までとくに変わったことはなく、話をしながら歩いていた。 「あ、あの、あの」 と、下のほうから声をかけられる。主は明日香ちゃ …
右腕から繰り出された雷撃は、ひとつは狙い通りに当たったが、もうひとつはよけられてしまい、後続の同類に激突する。ちょっと気の毒であるが。 残る二匹は速度を上げ、更に腕を高くあげて威嚇しながらやってくるが、その間左手に溜 …
まずは自分のために戦えよ。 その言葉が何故か頭から離れず、ずっと背後霊みたいについて来ている。いや、背後霊は失礼ね。せめて守護霊にしておこう。 って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。目の前からは、人外たちが多数 …
有田との戦いのあと、のどが渇いたため一階にある自動販売機前まで移動した私たち。炭酸飲料を口にし、ちょっとすっきりすると、思わずふーっと息を吐き出した。 「それにしても、マジで今まで気がつかなかったのかよ」 呆れなが …