東京異界録 第2章 第21録
「な、何っ」 視角が光に包まれた瞬間、私の体は軽くなり、前から来た大きな光弾が放った主へと返っていく。 自らのジュツでダメージを負ったクサナギは、壁に激突し咳き込んでしまっている。 「い、今のは完全な反流(はんる …
「な、何っ」 視角が光に包まれた瞬間、私の体は軽くなり、前から来た大きな光弾が放った主へと返っていく。 自らのジュツでダメージを負ったクサナギは、壁に激突し咳き込んでしまっている。 「い、今のは完全な反流(はんる …
白昼堂々と、学校で襲撃してきたクサナギ。私は運悪く妖怪兄弟と離れてしまい、一対一を強いられてしまう。 「どうしました。かかってこないのですか」 勝てる気がしないんで。無駄に戦いたくないのもあるけど。 とは思いつ …
家に帰った私は、鳴(なる)兄に事情を話してしかめっ面にさせてしまった後、何とかわかってもらいベッドにもぐる。 翌朝、通常の朝がやってくると、普通に学校へと登校。最近、毎日が長く感じる気もしつつ、忘れかけてたバスケのこ …
「事情、ね。どうしてそう思う」 と、カーラ君。神無月が本当に戦いを望んでいるのか疑問だということを伝えての回答だった。 「カンとしか言いようがないんだけど」 少し、間をおいて、私なりに話してみることに。 ひとつ …
話し手がカーラ君に代わると、自身の立場である要(かなめ)について説明し始める。 「以前も言ったと思うけど、要は妖怪界と人間界を隔てる結界を守る位置にいる、のだけど」 歯切れが悪い理由は、とある妖怪が原因で起こったこ …
「あの子が、十二月(じゅうにげつ)なのっ」 隣にいる同い年の如月君がそうなのも驚いたが、もっと幼い先程の女の子も同列の立場だという。 確か、十二月(じゅうにげつ)というのは、悪しきモノから天皇を守るための位置づけだ …
プリムを倒し如月君が男に止めを刺そうとした矢先。いつもフォローしてくれている妖怪兄妹のひとり、カヌス君がそれを阻止した。 彼は普段どおりの勝気な笑顔で、左腕を下ろす。戦闘時に身に着けているらしい和服姿で、味方の攻撃を …
「怪我は問題ないのか」 「大丈夫、カーラ君が治してくれたから」 「わかった。男のほうは俺に任せろ」 うなずいた私と如月君は、再度構える。相手の二人はこちらを怪訝そうにうかがうと、同じく戦闘体制に入った。 動き出 …
肩を抑えながらうずくまるアタシ。耳をふさぎたくなるような鈍い音がしたと思ったら、知らない男が立っていた。 その手には血にぬれた剣が握られており、女のとは違うものだ。 「大丈夫ですか、プリム」 「クウちゃんってば、 …
女はこちらにゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。まるで何かを踏みしめるように。 「あなたが藜御楓(あかざみかえで)さんかしら」 至近距離までやってきた相手は、如月君にそう聞いた。だが、本人は何も言わず、にらみつけてい …