東京異界録 第2章 第17録
話し手がカーラ君に代わると、自身の立場である要(かなめ)について説明し始める。 「以前も言ったと思うけど、要は妖怪界と人間界を隔てる結界を守る位置にいる、のだけど」 歯切れが悪い理由は、とある妖怪が原因で起こったこ …
話し手がカーラ君に代わると、自身の立場である要(かなめ)について説明し始める。 「以前も言ったと思うけど、要は妖怪界と人間界を隔てる結界を守る位置にいる、のだけど」 歯切れが悪い理由は、とある妖怪が原因で起こったこ …
「あの子が、十二月(じゅうにげつ)なのっ」 隣にいる同い年の如月君がそうなのも驚いたが、もっと幼い先程の女の子も同列の立場だという。 確か、十二月(じゅうにげつ)というのは、悪しきモノから天皇を守るための位置づけだ …
プリムを倒し如月君が男に止めを刺そうとした矢先。いつもフォローしてくれている妖怪兄妹のひとり、カヌス君がそれを阻止した。 彼は普段どおりの勝気な笑顔で、左腕を下ろす。戦闘時に身に着けているらしい和服姿で、味方の攻撃を …
「怪我は問題ないのか」 「大丈夫、カーラ君が治してくれたから」 「わかった。男のほうは俺に任せろ」 うなずいた私と如月君は、再度構える。相手の二人はこちらを怪訝そうにうかがうと、同じく戦闘体制に入った。 動き出 …
肩を抑えながらうずくまるアタシ。耳をふさぎたくなるような鈍い音がしたと思ったら、知らない男が立っていた。 その手には血にぬれた剣が握られており、女のとは違うものだ。 「大丈夫ですか、プリム」 「クウちゃんってば、 …
女はこちらにゆっくり、ゆっくりと近づいてくる。まるで何かを踏みしめるように。 「あなたが藜御楓(あかざみかえで)さんかしら」 至近距離までやってきた相手は、如月君にそう聞いた。だが、本人は何も言わず、にらみつけてい …
突然現れた、フリフリの服を着ている女性。歳は二十歳前後、かわいくてスタイルもよく、まるで人形みたいな人だった。 雰囲気を除けば、ね。 「あら、どうしたの。一緒に遊びましょうよ」 「そーはいっても、おねーさん。何し …
カグナさんの店に集まった異界関係者たち。十二月(じゅうにげつ)の一人だという如月君と、妖怪兄妹とその祖父が、距離をとったまま動かないでいた。 そしてこのとき、私はカーラ君とカヌス君に初めてあったときのことを思い出す。 …
赤土(あかつち)、もとい、須藤君と和解した、と言うべきなのかしら。まあ喧嘩を売られなくなったのは間違いないので、そういうことにしておこう。 気がかりなのは彼が抱えている問題で、命に関わることだから何とかしてあげたい気 …
やってきた先は、駅から徒歩15分ぐらいのところにある焼肉屋。ちょうど私の家からは正反対にあるこの場所は、大食いなら知らない人間はいないと言われるほどの人気店だった。 当然、食べ盛りの弟、雪祥(ゆきひろ)も知っている。 …