東京異界録 第2章 第3録

 楓が式を使い調べている頃、加阿羅(カーラ)は人気のない屋上へと来ていた。彼は壁に背を預け、眠っているようにも見えるが、顔には影が落ちている。  『加阿羅、何してるの』  『ん、伽糸粋(カシス)か。別に何もしていないよ』 …

東京異界録 第2章 第2録

 あの練習の後、一部だけ教室に戻り男女別にチーム分けを行い、男子はすんなりと決まって体育館へ戻った。だが、女子は経験者が少ないため、練習してから決めることに。  今は行事の中心人物の四人と一緒だ。  「ってかさ、女子用の …

東京異界録 第2章 第1録

 家に帰って翌日の準備をして就寝した私たちは、日が昇ると普通の学生に戻るようになっている。  朝のドタバタを過ごしたあと学校に着くと、三時間目までは普通の授業を受け、それからHRに。  本来なら次は国語なのだが、学校行事 …

東京異界録 第1章 第12録

 いきなり現れた妖怪兄弟の次男坊。顔が至近距離にあることを理解するのに、数秒はかかっただろうか。  「うわ、ちかちか、近いっ」  「わわ、暴れんじゃねえよっ」  足が落ち着いても、心臓の音が全身を駆けめぐっている。ああ、 …

東京異界録 第1章 第11録

 喧嘩を売られた奴とは違う人間たちとのドンパチになり、いつの間にか物の怪と戦うことになるとはな。いったいどんな流れでこうなるんだか。  まあ事前に持っていた装備で、アタシもユキも武装はしているが、正直、不安が多く占めてい …

東京異界録 第1章 第10録

 赤土と勝負しにやってきたハズが、なぜか竜間とその取り巻きと喧嘩するハメになったアタシたち。前者に関しては事前に取り付けられていたからともかく、後者は完全な邪魔者で、アタシたちのことが鼻につくらしい。  奴はいつも隙を狙 …

東京異界録 第1章 第9録

 ある声で目が覚めた私。どうやら眠っていたようだ。  「ねーちゃんってば。ご飯できたよ」  「ん、今いく」  昼間から戦ったせいで疲れたのかもしれない。まあ、顔を洗えば意識がはっきりするだろう。  「レオンにお供えしとい …

スノーマン エピローグ

 ふと目を覚ますと、白い頭が四つに猫っぽい顔にサルっぽい顔、その他、いろいろな動物のりんかくが目にはいった。数秒後だろうか、なにやら嬉しそうにしているような奇声が聞こえてくる。  「サクヤ、大丈夫っちか」  「えー、あー …

東京異界録 第1章 第8録

 自宅のドアを開けて見えた、リビングに立っている謎の大男。あの黒ずくめはいったい何なのだろうか。  「どうしたんだ」  「だ、誰かが中にいる」  条件反射のように行動した鳴兄は、私を押しのけ扉を開ける。乱暴に扱われた扉は …