●おおむね(大棟、大旨、概ね)
ななな、何考えてんのあの馬鹿師匠。高所恐怖症だって知ってるクセにいっ。
うう、わかってるんだけどね。兄弟弟子はみんな、これやってたから。ひい。
下を見るから怖いんだな、たぶん。前を見て、そおっと足をだして確かめて。
うう、こんな速度じゃあ日が暮れちゃうよぉ。誰かどうにかしてよーっ。
●おおむらさき(大紫)
そういやあさ、チョウチョって最近見なくなった気がすんだけど。気のせい。
じゃ、ないんだ、やっぱり。モンシロチョウとか舞ってるの見るの、好きでさ。
リアルタイムは知らないけど、親の懐かしビデオ見てて思ったんだけだよ。
こうのんびりしてるときにそういう風景眺めるの、幸せなんだけどなあ。
●おおむらさき(大紫)
この実にはいい思い出がなくてね。実自体に何の意味もないし罪もないけど。
ああ、悪い。気にしないでくれ。つい感傷的になってしまったな。行こうか。
私が住んでいた、あの町にも咲いていた。この世には存在しない場所だが。
それでもこの道を進んだのはこの身に宿る感情を発散させたいが為なのだ。
●オオムラサキ(大紫)
この蝶に間違いないんだな。ほお、あの女が生きていると。しぶとい奴だ。
そうだな、お前には話しておこう。もう、かれこれ十数年前になるのか。
師匠が自分のことを話すのは珍しいと思ったが、相当腹に据えかねるのだろう。
だが、この続きを聞くことができなかった。預けた本人が首を落としたのだ。
●おおめい(大姪)
遠いっちゃそうだな。ボクも会ったことないし、存在を知ってるだけだよ。
ボクのことなんて、あっちは知らないさ。んなコトよりも、こっちはどうよ。
なるほどねぇ。んま、そうこなくっちゃな。え、何がって。刺激がないだろ。
少しは障害がないと燃えてこないじゃん。え、そういうところが似てるの。