●おおだち(大裁ち、大太刀)
本当に助かるわ。これで彼に贈ることができるもの。喜んでくれるかしら。
皆には助けてもらってばかりだから、少しでも返せればいいんだけど。ふふ。
でも、彼はお洒落だからなあ。ま、気に入らなかったら箪笥の肥やしにでも。
もちろん着てほしいわよ。でも、気持ちを伝えるほうが先だからいいのよ。
●おおだち(大裁ち、大太刀)
君じゃあ無理だって、ほらね。見た目よりも重いんじゃないかな。たぶん。
まあ、体格が違うし、ましてやおれは特殊だから。気にしなくてもいいさ。
それに、君の場合はスピードを活かしたほうがスタイルに合うからね。そ。
逆におれの場合は一撃必中だから、けっこう精神力を使うんだよ。これでもね。
●おおだち(大裁ち、大太刀)
あの刀、間違いないな。奴がターゲットだ。それにしてもあんな子供だとは。
連中は何を怯えているんだろうな。しかもたった一人だぞ、おかしいだろ。
確かに様々な噂は耳にする。かといって一人を大勢でなんて、腑に落ちんさ。
「それはそれは。君、意外に見所があるじゃないか。どこに雇われたのか」
●おおつごもりそば(大晦日蕎麦)
本当に面白い文化だな。二百年ぐらい前には定着してたと思うが。確かね。
場所によるらしいけど、だいたいは蕎麦を食べる習慣がある。それがこれ。
もちろん縁起担ぎだ。他の麺より切れやすいから、一年の厄を落とすってことらしい。
ホント不思議だ。いつしか自然を恐れ、色々な風習にも繋がったし。
●おおつづみ(大鼓)
ふふふ、そうだ。その調子でどんどん演ずるがいい。ここにいる者たちに死を。
あの太鼓に呪詛がかけられているなど誰も思うまい。阿鼻叫喚と化すのだ。
おかしい。もうそろそろ効いてもいい頃のはずだが。何故誰も倒れないのだ。
「ああ、こちらにいらっしゃいましたか。少しお話を聞かせてもらおう」