瞳の先にあるもの 第40話

 エリグリッセ兵士自害が発生して半日。アンブロー側はもちろん、ラヴェラ派の兵士にも衝撃が走った。同じ出身国兵には、憤りを感じる者もいるという。  中には、アマンダが施した策が裏目に出たと批判する者もいた。  ヘイノは、ラ …

瞳の先にあるもの 第39話

 男性の世界、というのは、女性の感覚では理解出来ないのだろう。逆も然りで、そればかりは仕方がなく、自然、いや宇宙の法則ともいえるのかもしれない。  「役割というか文化というか。言葉では表現しかねるがな」  「丸く収まった …

瞳の先にあるもの 第38話

 ある程度の修復が終わった第一拠点のオアシスから出発したアンブロー軍は、急ぎ第二拠点のオアシスへと足を運ぶ。本来ならそこからラヴェラ王子のいるオアシス、クリハーレンに行くはずだったのだが、予定が変更され、王都ヒエカプンキ …

瞳の先にあるもの 第37話

 第一拠点のオアシスを制圧したアンブロー軍が留まること数日。地元民を中心に壊れた建物の修復や情報収集を行いながら、彼らは今後の動きを再検討していた。  情報整理は、主にヘイノが使用している部屋で行われている。  「ふう。 …

瞳の先にあるもの 第36話

 「自力で脱出したってか」  「そのようです。縄につけていた魔力反応が途切れた、と」  「んなバカな話あるかよ。人の力じゃ切れねぇし、魔法つかわないとほどけないようにに特殊加工したヤツなのに」  ガシガシ、と頭をかくラガ …

瞳の先にあるもの 第35話

 「止まれ。何者だ」  「ボクたちさっき入った旅団の遅れ組みだよん。きいてない」  「ないな。悪いが今は中には入れんぞ」  「えー、そんな~。のどカラカラなんだ、せめてこの子達だけでも入れてあげてよ」  と、道化師の姿を …

瞳の先にあるもの 第34話

 アンブロー軍が第一拠点のオアシスに到着してから数日。彼らは未だに町の中に入ることが出来ず、外で野営をしている状況だ。本来なら町の中で調達し終え、既に第二拠点へ出発しているはずであった。  「対応が早いと言えばそれまでだ …

瞳の先にあるもの 第33話

 ヘイノに頼まれた仕事をこなした情報屋は、一度離れ、ヒエカプンキを訪れる。ヒエカプンキとはランバルコーヤの首都であり、通称、砂の都と言われている。現王政派が支配している場所だ。  だが、人が出歩く時間帯にも関わらず、女子 …

瞳の先にあるもの 第32話

 ラガンダの計らいで、ランバルコーヤ流のもてなしは一般兵にも施された。その中にはラヴェラ派の兵士も混ざっており、数週間を通してよく肩を並べる関係になったようだ。  とはいえ、ランバルコーヤ兵は決して多くない。人数では全体 …

瞳の先にあるもの 第31話

 「にしても奇遇だな。今はランバルコーヤで巡業中か」  「じゃないわよ。お偉いさんに呼ばれたんですって」  「呼ばれることは珍しくないけど。急に?」  「みたい。んま、よくある話よ」  お偉いさんの中に踊りが好きな方がい …