東京異界録 第2章 第1録

 家に帰って翌日の準備をして就寝した私たちは、日が昇ると普通の学生に戻るようになっている。  朝のドタバタを過ごしたあと学校に着くと、三時間目までは普通の授業を受け、それからHRに。  本来なら次は国語なのだが、学校行事 …

東京異界録 第1章 第12録

 いきなり現れた妖怪兄弟の次男坊。顔が至近距離にあることを理解するのに、数秒はかかっただろうか。  「うわ、ちかちか、近いっ」  「わわ、暴れんじゃねえよっ」  足が落ち着いても、心臓の音が全身を駆けめぐっている。ああ、 …

東京異界録 第1章 第11録

 喧嘩を売られた奴とは違う人間たちとのドンパチになり、いつの間にか物の怪と戦うことになるとはな。いったいどんな流れでこうなるんだか。  まあ事前に持っていた装備で、アタシもユキも武装はしているが、正直、不安が多く占めてい …

東京異界録 第1章 第10録

 赤土と勝負しにやってきたハズが、なぜか竜間とその取り巻きと喧嘩するハメになったアタシたち。前者に関しては事前に取り付けられていたからともかく、後者は完全な邪魔者で、アタシたちのことが鼻につくらしい。  奴はいつも隙を狙 …

東京異界録 第1章 第9録

 ある声で目が覚めた私。どうやら眠っていたようだ。  「ねーちゃんってば。ご飯できたよ」  「ん、今いく」  昼間から戦ったせいで疲れたのかもしれない。まあ、顔を洗えば意識がはっきりするだろう。  「レオンにお供えしとい …

東京異界録 第1章 第8録

 自宅のドアを開けて見えた、リビングに立っている謎の大男。あの黒ずくめはいったい何なのだろうか。  「どうしたんだ」  「だ、誰かが中にいる」  条件反射のように行動した鳴兄は、私を押しのけ扉を開ける。乱暴に扱われた扉は …

東京異界録 第1章 第7録

 一度家に戻ることになった私と弟のユキは、店で妖怪たちと別れたあと、近くにある自宅へとむかう。  徒歩十分ぐらいにあるその場所は、外観もキレイで、周りにコンビニやスーパーがあるため住みやすい。  エントランスに入ってセキ …

東京異界録 第1章 第6録

 店に着いた私たちは、CLOSEと書かれた喫茶店の扉を遠慮なく開ける。店は中から漂っている仕込みの香りで歓迎してくれた。  店内には、先に到着していた人たちがおり、来客を知らせる鈴の音で振り返る。  「お帰り、ねーちゃん …

東京異界録 第1章 第5録

 いったいどこから湧き出てくるのか、狼の数は一向に減る気配がない。一番前の奴らを倒しても、最後列にまた出てくるような感じだ。  「肌の新陳代謝かよ、っとに」  「面白い例えだね」  「そりゃどうも」  あちらは大太刀を、 …

東京異界録 第1章 第4録

 学校を案内させられた後、今日は異常なかったようなので、そのまま帰路へとつく私たち。彼らは真昼間なのにも関わらず、ゴエイだからとかってついてきているけれど。  「ため息ばっかついてっと、幸せ逃げるぞ」  「あのねえ」   …