Twitter小説 その32

●愛聴
美しい音楽は何度聞いても飽きない。とくに私は、生命の旋律を好む。
君の呼吸、肌のぬくもり、生まれた赤ん坊の泣き声や寝息、すべてが愛おしい。
ハープの旋律にのせて世界に送り届けよう。そして、私たちは安らかに眠ろう。
戦地で夢見た未来の平和のために。つかみかけた穏やかな生活のために。

●愛重
今思えばあの場所にいたことが間違いだったのかもな。しゃあなねぇか。
国王に愛重されているお宝に手ぇだしたせいでこんな目に遭っちまったし。
まあ、コイツのおかげであの国からはお尋ね者にはなったが、構いやしない。
元々俺のものだったんだ、誰がどう文句いおうが俺以外使えねぇんだからな。

●アイデンティティー
子供のころにはわからなかったが、年齢を重ねていくと状況が理解できる。
なぜ外にでてはいけないのか。どうして顔を隠さなければならないか、とか。
兄はすでに闇に飲まれ意識のない人形のようになってしまった。ならば。
国を救えるのは私しかいないのだ。敵に身を置こうとも生き残らなければ。

●哀悼
世界全土が黒一色となった。この世を救った英雄が天に召されたからだ。
戦争を終わらせ平和のために奔走した賢君は、政治を行った国で眠りにつく。
ある晩、厳重に警備されいたのにも関わらず王の亡骸が入った棺が消えた。
「必要ない。余は何度でもよみがえる」起きあがった若い男は、不敵に笑う。

●哀慟
あの事件から一夜が明けた。駆けつけてくれた旅の人のおかげで助かったけど。
私と同じ年頃の子はみんな村からでていて、戻ったのは私と相棒のこの子だけ。
まるでこうなる事を予期していたみたいに、大人たちしかいなかったの。
理由はどうあれ、見ず知らずの人に泣きついて申し訳なかったな。

 

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